2011年07月24日

積立金運用のリスク

前回に引き続き、企業年金について、今度は、報道でも話題になっている運用リスクについて解説します。

運用目標に見合う期待リターンを決めアセット・アロケーションを選択することは同時にリスクについても選択していることになります。

その場合リスクはどのような考え方でポートフォリオ運用の中に入ってくるのでしょうか。


基本ポートフォリオは国内債券を67%組み込んでおり、相当リスクを抑えたものとなっており、一方で、企業年金ではリスクの高い株式のウエイトを上げて高いリターンを目指しています。

企業年金の場合は積立方式であるため、本来、積立金運用のリスクは積立金保有者である加入者です。しかし松下、NTTなど年金の減額訴訟で問題となったのは積立金の状態というよりもむしろ企業の収益状態が年金を十分支える力があるかどうかでした。


つまり母体企業がしっかりしてさえいれば年金参加者にとって企業がどのようなリスクをとって運用しているかは大きな関心事とならないのです。

こう考えてくると企業年金における運用リスクは企業がそのリスクに対してどういう対応をするかにより決まります。

企業の運用リスクへの対応はおそらく2通りのタイプがあります。

1つは、そもそも企業はリスクテイクをする組織なのだからその一環として年金運用のリスクを取っていけばよいとするタイプであり、本業のリスクとのリスク分散をも考える場合もあります。たとえ安全第一で運用したとしても予定利率を下回る部分は企業負担になるということから、高いリスクテイクのポートフォリオを受け入れることはあり得ます。

もう1つの企業の対応としては、本業以外の株価変動のリスクが本業に持ち込まれて企業の財務諸表に反映されることは株主への説明がつかないとして安全運用を目指すタイプです。

事業承継にあたっては、こういう運用リスクについての配慮が重要なポイントになります。

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2011年05月01日

企業年金における積立金の役割

事業承継については企業年金についての考慮が不可欠です。

企業年金における積立金の役割は、基本的には退職給付債務に見合った積立てを行って、将来の給付の原資を確保することです。

もしもそれが不足した場合には企業のバランスシートに計上されるため、株価や企業価値にも影響が及びます。

積立金不足の場合、企業が資金拠出する必要が生じることから、年金だけが独立しているのではなく、企業の財務と密接な関係があります。

また、積立金の中には株式が含まれ、それが時価評価されるため、現在のような株価急落の局面になれば積立金の減少となり、企業は厳しい影響を受けるのです。

公的年金積立金の役割は平成16年の年金制度改正の中で定められました。この中で向こう100年間における年金財政の均衡を図ることが明示され、保険料については平成29年度までに段階的に引き上げたうえで上限を固定すること、また年金支給額は期間中現役世代の平均収入の50%を上回る水準を確保すること、さらにマクロ経済スライドによる給付水準の自動調整を行うことが定められました。

日本では従来の経緯から非常に巨額な積立金を持っているため純粋な賦課方式とは異なり、修正賦課方式と呼ばれています。この巨額な公的年金の積立金は、年金制度の設計の中で非常に大きな役割を持っています。

100年の有限均衡という平成16年の制度改正で定められた公的年金の積立金の役割としては2つ。

第1は将来の給付のバッファーファンドとして積立金の残高を徐々に取り崩しながら給付に充てていくことです。つまり、現在の給付費の5年分程度の積立金を100年かけて1年分程度まで削減し、年金支払資金に充当していくことになっています。


第2は、この間に賃金上昇率を上回る実質的な運用利回りを確保することによって年金財政に貢献することです。年金支給額は概ね名目賃金にスライドするため、プラスの貢献をするためには名目賃金の上昇率を上回るような積立金の運用が必要です。当面の運用にあたっては、名目賃金上昇率2.1%の想定の下で実質的な運用利回り1.1%を確保すべく、3.2%を目標としています。

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2010年02月18日

ビジョナリーカンパニー

ビジョナリーカンパニーというロングセラーとなっているビジネス書がある。

本書に登場するビジョナリーカンパニーは、平均設立年が1897年である。事業承継に成功している企業であるといえよう。

経営者が承継しているという以上に、事業が承継するというのが考え方の原点だ。

栄枯盛衰がはげしいビジネス界で生き残り、勝ち残るためには、基本理念の維持などが重要だとしている。

経営者が変わろうと、環境が変わろうと、基本理念を一貫して継続しているかどうか、ということだ。

方針が、組織の隅々まで浸透し、ビジョナリーカンパニーの社員としての行動規範が示されていること、そして、その方向にしたがっているということ、継続的な地道な活動が鍵を握る。

サステナビリティは、企業の持続可能性の視点で、欠かすことができない枠組みである。

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2009年12月10日

永続への道

成功体験にしばれると、次の一手が遅れる。
そして、危機に陥る。
過去の成功が、将来の代償を求める。

事業が永続するためには、顧客ニーズにあわせて、変えるものは変えると同時に、残すものは残すという選別眼が必要となる。

重要なのは、事業ごとの時間軸を明確にし、異なる時間軸の事業を管理していく姿勢である。
既存事業を継続しつつ、新規事業の芽を出していく。

持株会社形態であれば、持株会社がグループ戦略を構築し、事業会社が、毎期の目標達成を目指して経営していくこととなる。

その役割分担がうまくいってこそ、事業承継が成功する。
会社の寿命と事業の寿命は違うのである。

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posted by 事業承継 at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月04日

あけましておめでとうございます

謹賀新年

今年もよろしくお願いいたします。

さて、2009年をむかえました。
丑年ですね。

牛というと、「も〜」という声が聞こえてきそうですが、事業承継の現場でも、そのような声が聞こえるかもしれません。

今年は、昨年より、厳しさが増しそうです。

事業環境が厳しくなる中、経営の難易度も高く、後継者に引きつぐのに躊躇する人もいるでしょう。

ただ、景気の悪化は循環的なものとしても、数年はかかるとみる専門家が多いようですし、それ以上に、少子化・グローバル化など、構造的な変化は、後戻りするものではありません。

事業承継を後回しにしても、結果として、選択肢が狭まるだけ、というのは、先輩方が実際に経験してきたところです。

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2007年09月10日

事業承継

日本経済新聞の家族会議面に、中小企業の事業承継に関する記事がありました。

「後継者が事業承継前に不安に感じたこと」

事業を維持または拡大できるか。  52%
自分が経営者として適任か。     45%
財務面できちんと経営できるか。   42%
社員の信頼を得られるか。      37%
仙台の人間関係を継承できるか。  31%

日本青年会議所による調査


事業承継では、後継者が不安に感じていたことが分かります。
posted by 事業承継 at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

M&Aという選択肢

M&Aということに、抵抗感を持つ経営者も少なくありません。

実際、企業をモノであるかのように考えたり、また、マネーゲームに取り組むかにような人がいるのも事実です。

ただ、M&Aの現場、という意味では、そのような人々は、実際は、非常に少ないのです。

多くの経営者は、経営戦略の一環としてとらえて、真剣に向き合っています。

取引先のことも、社員のことも、とても大切に考えて、M&Aに取り組んでいるのです。

そして、特に、中小企業で、その傾向は強いといえます。
日本的な「和」「つながり」を大切にしています。

事業承継の手段として、活用が広がっている理由が分かるような気がします。
posted by 事業承継 at 14:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月03日

事業承継の難しさ

事業承継は、その専門家にとっても簡単ではありません。

事業継承について適切にアドバイスするためには、広範囲に渡る専門知識や経験が必要なだけではありません。事業承継というテーマを扱うだけの人間力こそが重要なのです。

もちろん、専門知識も必要です。通常、広範囲にわたるため、複数の専門家の力が必要になります。

事業承継は、「とりあえず顧問税理士に相談して・・」「自分が頑張れば何とか・・」という形で乗り切れるケースは、ほとんどないのが実情です。
posted by 事業承継 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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